2021年8月2日(月)

今回は映画の感想です。
ル・シネマで『シンプルな情熱』を見てきました。
バレエ界の異端児にして「美しき野獣」のセルゲイ・ポルーニンが俳優として映画に出てるっていう好奇心で足を運んでみました。
バツイチ&シングルマザーの大学で教鞭を取る知的美女が大使館勤務のミステリアスなロシア人と逢瀬を重ねるというラブストーリーなのだが、女性側の一方的なJe t’aimeの暴走を描いてるので、恋愛映画とも思えす、数日たって、これは快楽の虜となる恍惚と苦悩を描いた映画だと思うと、しっくりときた。
私の話になるのだけれど、私はエロティシズムを追求していて、主にはジョルジュ・バタイユの思想をベースに、様々な事象を当てはめることをやっている。
そして、この映画に出てくる性愛はとても恍惚に満ちていて、バタイユと相性が良い。
恍惚を伴う快楽の虜となって主人公が理性を失っているという点で、性的倒錯だとみなすと、BDSMの世界観にも当てはまりやすい。
『家畜人ヤプー』を書いた沼正三こと天野哲夫氏が書いていた「快楽がウィスキーのロックであるとすれば、幸せはその水割りであろう。幸福は薄められ引き延ばされた市民の日常性となる」という文章を思い出した。
平穏な日常のことなんか忘れて、ロックのウィスキーに手を伸ばしてしまう。快楽も麻薬やギャンブルみたいに、虜になって身を滅ぼすものだ。
けれど、この映画の主人公は主体性を失うこともないのだが、その姿は、私の中で日常を失うことなく、快楽の虜になって、あられもらない姿を晒してしまうマゾと重なり合った。
のめり込めるくらい快楽を伴う恋愛であれ性癖に出会えるのは素晴らしいし羨ましいし、恍惚を知らないで終わる人生なんて退屈だ。
ということで、まだ心と身体の壁を破れない人は、自分の気持ちにブレーキを掛けずに、突っ走ってみてください。
突っ走ってる人は、くれぐれもシートベルトを忘れないでくださいね。
ちなみに、セルゲイ・ポルーニンの美しい身体を見に行ったのだが、開始30分くらいはポルノムービーのようなシーンがてんこ盛りだし、「嘘でしょ?」って部分までノーモザイクで写ってるし、大満足でしかない映画だった。
bySARA女王様